じざいやは、羽織好き

羽織は、着物の着こなしに個性を出すための大切なアイテムです。じざいやは、秋も春も季節に合わせたオリジナルの羽織を、毎年、ご提案させていただいています。

本当に素敵な羽織ってなかなかないですものね。羽織は、着物や帯ほどとっかえひっかえはしませんので上質な1枚が欲しいところです。

屋内では脱いでしまう道行や道中着とは違い、着物とのコーディネートを楽しめるのが羽織です。

若い頃の着物でちょっと派手になったかな?と思っても、羽織で覆ってしまえば気になりません。反対に、色無地や江戸小紋がつまらない時に大柄の羽織で遊び心を満足させることも。

お出かけ前の慌ただしい時に、帯結びが決まらない!ってときも、頼りになるのが羽織です。ふわっと羽織って、一段上のコーデですって言う顔でお出かけできます。

40年ほど前には、格を上げるために絵羽織を着るという着こなしがあり、また、防寒具としての意味合いも今より強くありました。

でも、今の羽織は、コーディネートの楽しさを広げるアイテムです。着物を隠してしまっても羽織を見せたい、魅せたい。道行や道中着のように室内で脱がないでも失礼ではないので、羽織をメインのコーディネートも楽しめます。

さてさて、お気に入りの一枚の羽織を見つけるための、じざいやからのご提案です。

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羽織、コート、道行や道中着、ショール じざいやのお勧めは、まずは、単衣の羽織です

初めてコートを誂える、という方から「どんなコートにしたらいいかな?」と質問を頂きます。お茶などのしきたりを気にせずに、自分の楽しみで着物をお召しになる場合は、羽織をお薦めします。

そして、最初の一枚のイチオシは「単衣の羽織」。

羽織にも、着物のように、袷と単衣と薄物があります。そして、袷の羽織は、紅葉から桜まで、との言葉があるように10月から4月ごろまでが着時、ということになっています。

とはいえ、お住まいの場所にもよりますが、最近の10月は気温が高くて羽織が不要な日も多くなってきました。横浜では11月になって20度を越える日もあります。最近は、屋内や電車も暖房のおかげで、単衣の羽織でも十分に暖かく、真冬以外は袷の羽織で歩き回ると汗ばむほどで暑くて邪魔、ということになりかねません。

寒い地方でなければ、「引き返し」を多めにした単衣の羽織があれば、寒い時はショールを重ねるなどして着る期間を長くとれます。

そして春先は、暑いには暑いけど帯付きで出歩くのは避けたい、といいますか、個人的に徒歩圏内より遠くの乗り物移動に羽織ものは必須、だと思っています。

帯を守るためにむき出しのまま出歩かないためにも、やはり一枚羽織っているとエレガントです。

春先の、まだ昼夜の寒暖差のある時期にも、単衣の羽織が便利です。

羽織の選び方 その1 合わせる着物を選ばないお利口羽織 

大島紬などの上に華やかな小紋で作った長羽織。

女心をくすぐる楽しみですが、下に着る着物によっては柄同士が喧嘩して、うるさく感じてしまうこともあります。

何枚も羽織を持つのでないのでしたら、まずは、ごくアッサリした飛び柄の小紋や、無地で紋織りや紬などの趣のある反物で作ると着廻しがしやすくなります。シワになりにくい生地を選ぶことも大切です。

そんな羽織は、合わせる着物を選ばない「お利口な羽織」で、きっと出番が多く活躍してくれます。例えば、こんな反物はいかがでしょう?

綾織で、ニュアンスのある質感です。水色は藍ぼかし、緑の無地は蓬(よもぎ)です。商品ページは、こちらから。

お利口羽織向きの反物はこちらから。

羽織の選び方 その2 じざいやオリジナル 一点物の主役になる羽織

この頃は、羽織用の「羽尺」と呼ばれる反物の生産も減り、小紋の反物から羽織を仕立てることも多くなりました。

そんな中、じざいやは、あえて手間隙かけて、よそにない絵羽羽織を染めたりしています。羽織は脇にマチがあるので、絵羽の柄を繋ぐのに訪問着より手間がかかるのです。

でも、着姿に見惚れてしまう素晴らしい長羽織になります。魅せる羽織です。思わず振り返って後をついて行きたくなるような、そんな羽織たち、どうぞご覧ください。

今年も秋に新作を紹介しています。何か月も前から打合せをして、作ってもらってます。

上から薔薇、藤の花、波うさぎ、衿だけ辻が花、の4点です。今シーズンの主役の羽織は、こちらからご覧いただけます。

これらの羽織は、いつも五月の連休の頃にはもう「秋用に」と、色柄指定して職人さんにお願いします。秋に出来上がる豪華な羽織。毎年、寒くなるのが楽しみです。

一点豪華主義?でこんな羽織は如何でしょう。たとえば辻が花の羽織4点です。

辻が花の技術について、こちらをご覧ください。

次に、桶絞りに型友禅の絵羽羽織です。

羽織の絵羽ですので、マチも衿の折り返しも全て柄合わせがしてあります。

判りますか? 訪問着より手間なんですよ、合口が多いですから。染分けのようですが、この染分けは「桶絞り」という絞りの技法の1つです。今では 職人さんも2人だとか・・・ 。

染分けで陰影をつけた四季の花は、流れるようで上品な柄付けになっています。

桜と葡萄。

染分けの境目で絞りだとわかりますね。揺らぎが優しい表情を醸します。

松から藤、小菊。

衣の羽織にもお勧め。長羽織にするととてもエレガントです。

桶絞りの技術についてこちらをご覧ください。

じざいやでは、秋になる頃、毎年こんな羽織をご提案しています。今シーズンの主役の羽織はこちら。

毎年楽しみにしてくれているお客様たちがいればこそ、春から、秋の羽織の用意を始めています。

辻が花、といえば、こんな羽織もありました。

羽織の選び方 その3 夏から秋、春から夏の薄物羽織

夏から秋にかけての薄物の羽織

秋は、着物でのお出かけの機会が多い季節です。そろそろ羽織ものも必要になります。秋風が吹き始めたら薄物の羽織ものを1枚用意しましょう。

大人の女性らしいエレガントさが出ますし、なにより帯を守ってくれます。

秋の羽織を2点ご紹介。

藤色とピンクのぼかしです。 経絽風の透かし織です。カジュアルにも 柔らかものにも使える汎用性の高い羽織になってくれます。

こちらは、薄グレーから藤色ぼかしの羅に唐草模様を手描きされています。 

優雅で上品な気持ちにさせてくれる羽織です。こんな羽織で、秋のお出かけはいかがですか?

春から夏にかけての薄物の羽織

まだまだ寒いけど、一月末くらいから確実に春へと向かっています。梅が咲き、桜が咲いたら、羽織も春物の軽やかなものへ。

桜が散ったら、薄物、ほのかに透け感のある羽織ものが軽やかで素敵です。

たとえば、下の三点の生地は縦よろけで、うっすら透け感があるので、春~夏、秋口までお召いただけます。とても軽くい風合いです。本当にカーディガン的にお使いいただけます。

風合いは軽いですが、段染の色合わせの存在感は、薄物の主役の羽織、といえます。

4月中旬、袷の羽織では本人はもちろん見た目も暑苦しいです。透け感のある薄物を着てしまっても違和感ないと思いますが、単衣の、こんなサラリとした明るめの羽織ものが1枚あると便利ですね。綾織ぼかし段です。

そして、可愛い駒上布。スケスケではなく程よい透け感。シャリシャリした風合いで気持ち良いです。これも、羽織にすると風を含んでふわり、とした時にとても綺麗です。春先からの羽織ものに暑苦しく見えずにお洒落です。

梅雨から夏に小千谷縮で作る羽織

夏でも帯付きのまま電車や人ごみに出るのは躊躇われるもの。

柔らかものには、紗や絽、レースやオーガンジーの羽織がありますが、夏紬や麻の着物には、気軽で気楽な小千谷縮の羽織ものがお勧めです! 

コートにすれば、雨コートが無いから雨の日の着物を諦めていた貴方・・・ これでもう安心です^^

小千谷縮は、羽織にすれば夏の冷房避けにもなってくれますし、雨コートにするときは、ウェストに絞りを入れて小千谷縮にありがちなガバガバ感を抑えます。

濃い目の、あまり透けない色を選べば4月の桜が散った後位から、夏を通して秋は紅葉・・といっても、この頃の紅葉は遅いので10月半ば体育の日の後くらいまでは充分お召しいただけます。

こちらは濃い目のグレーの小千谷縮を羽織としてお召しの上に羽織ったイメージ。

とにかく軽くて涼しくて、泥跳ねしても自宅で洗えちゃうのが心強いです。

ゲリラ豪雨とか台風には勝てませんけど、しとしと雨なら問題ありません。塵除けにも見えるし、かばんに入れても嵩張らないので楽チンです。

小千谷縮の上に小千谷縮の羽織をON。カジュアルな時でも羽織ものがあると冷房対策にも心強いです。小千谷縮なら雨に当たっても心配なし。夏の味方ですね。

小千谷縮の商品ページはこちらから。

密かな羽織の楽しみ こだわりの、特注の、自分だけの羽裏

羽織の上級者で、二枚目三枚目を仕立てる方には、袷の羽織ならではの密かな楽しみがあります。それは羽裏。

襦袢以上に見えない羽裏ですが、着物好きのチェックが厳しいのも羽裏です。素敵な羽織でも羽裏が無地だったりすると、ちょっと手抜きを感じてしまうのですね・・

じざいやでは、お客様のご注文で手描きのオリジナル羽裏も作ります。


じざいやにご依頼いただいたオリジナルの羽裏の一例です。

こちらのページ「羽織の楽しみ こだわりの、特注の、自分だけの羽裏を友禅で作る」で、もっと胸キュンなオリジナル羽織もご覧ください。

 

オリジナルを作るほどの時間とお金を掛けられない方も多いので、出来合いでも ちょっとこだわった羽裏を用意しています。

こちらの羽裏は、襦袢にも八掛にも使えます。

羽裏の商品ページはこちらから。

見える表地よりも、自分だけがわかる裏地に凝って質の高い生地やこだわりの柄を持ってくることを現す『裏勝り』という言葉。脱いだ時にだけチラッと見えるところにこだわって、お金も手間もかける、こんな嗜みが生まれた背景には、江戸時代にたびたび出された「奢侈禁止令」があります。

贅沢を禁止されても、おしゃれで粋な江戸の人は楽しむことを放棄しないで、見えないところで遊んでいたのですね。

羽織紐は、帯、帯揚げとのコーディネートが大切

羽織を何枚も持てなくても、羽織紐を替えるだけでもイメージが変わります。組紐タイプやトンボ玉、まるぐけ等いくつか揃えておくと楽しいものです。

羽織をきたときの前姿は、着物+帯揚げ→前帯→羽織紐→帯締め、いう順番に見えると美しいです。

そのためには羽織紐をつける「乳(ち)」の位置が大切になります。乳は、共布で小さな輪っかを作って、つけます。 

羽織紐は、二本の紐を左右の乳につけて真ん中で結ぶタイプのタイプと、一本のタイプがあります。一本の場合は、羽織紐の両端に鐶(かん)やカニカンを着けて、乳に掛けます。

羽織は初心者、という方へ 羽織の着こなしやお仕立てで気をつけること 

初めて羽織にトライする、そんな方のお役に立つかもしれないことをまとめてみました。

  • 羽織の長さー 羽織の美しさは衿から肩、お太鼓の脹らみを通って流れるラインの優雅さにあります。肩からの流れるようなラインが重要に思います。着る方の身長や柄の入り方、お好みで長さはまちまちですが、膝上くらいまでは長さがないと優雅なラインにはならないです。
  • 羽織に向く素材ー 羽織は文字通り羽織るもの。羽織の生地を選ぶ時にはドレープの出方にも留意してみてください。落ち感がないと裾がペラペラしますし、さばきが良くないと脱ぎ着に苦労します。帯を覆ってしまうので後姿も重要です。
  • 引き返しー 単衣の羽織を作るときに、寒い地方でなければ、「引き返し」を多めにして、寒い時はショールを重ねるなどして着る期間を長くとれます。
  • マチー 羽織には、前身ごろと後ろ見頃をつなぐ「マチ」という部分が両脇にあります。着物やコートにはない部分です。このマチにより、帯の厚みを包み込んでも、縦の線がきれいに落ちるシルエットがでます。(「茶羽織」にはマチがありません。羽織の歴史もご覧ください。)
  • 衿ー 羽織は衿を外側に折って着るものです。きれいに抜けた衣紋が着物と重なって美しく見えます。
  • 羽織は、カーディガン的なもので、室内では脱がなくて良いとされますが、お茶室では脱ぎましょう。目上の方のいるお席でも脱いだほうが良いと思います。気楽な集まりでしたらそのままでも。

歴史からみる羽織 格や位置づけの変遷

羽織は元々男性のもので、武将が着た陣羽織や室町末期に小袖の上に着ていた胴服が原型とされています。江戸時代は「男のもの」と定められて、女性は着ることを許されませんでした。ですから、現代でも、男性の正装に羽織は不可欠です。

一方、女性の羽織の歴史は、江戸時代の延享年間の「辰巳芸者」といわれています。「辰巳」と言うのは、江戸城から見ての方角で、場所でいうなら「深川芸者」です。下町のきっぷの良いお姐さんたちが男勝りに羽織を着た姿が江戸町人の心を捕らえたのです。

戦後、物がない時代から、絵羽羽織や無地羽織に紋を入れて、それを小紋の上に羽織って格を上げる、ということが始まりました。私の子供時代、入学、卒業式に母は小紋や色無地の上に黒い紋付の絵羽羽織を着ておりました。あの頃の定番仕様でしたが、羽織で下に着ている着物の格を上げる、なんてことは近頃はあまりしなくなっています。私より下の年代の方は(40代以下?)はご覧になったこともないかも・・・ 

昔より羽織の存在感が薄くなってきたのも事実です。着物が普段着からフォーマル・礼装になってしまい、道行などのコート類に押されて羽織が少なくなってきたこと、日常の防寒具としての羽織の必要性が薄くなったことと、本当の日常着の上に着ていた、腰丈のいわゆる茶羽織はカジュアルというかホームウェア感覚で現在の着物の着方にはそぐわなくなってしまったこと、あたりが理由でしょうか。

とうことで、女性の羽織は、比較的歴史の浅いものです。それゆえか、アイテムとしての位置づけがまばらで悩ましいものにもなっているようです。今の羽織は、あくまでもお洒落で趣味性の高いカーディガンやジャケット、コートの感じでお召しください。

羽織をお好きな方は、関西よりも関東に多いような気がします。特に長羽織はクラシカルな山の手の奥様気分でしょうか。腰を覆っても膝より短い羽織は、活動的で若々しい雰囲気があります。

羽織の種類を分けてみました。ご参考までに。

  • 本羽織…黒地で膝下以上の丈があり、柄は背縫いを跨いで繋がっています。紋付、色紋付、訪問着などに、礼装として着ることが出来、紋が付いていると下に着る着物が紋無しでも格を上げることが出来ますが、上げても「略礼装」まで。現在はほぼ作られておらず、古着・アンティークで出回っています。
  • 中羽織…現在、普通に羽織と呼ばれているもので、丈は様々、小紋や紬などに合わせます。柄も無地、縞、小紋柄など、生地もお好みで。高級洒落着として絵羽柄にしたものも。フォーマルの上に着る場合は玄関前で脱ぎましょう。
  • 茶羽織…戦後、ものがない時代に1反から2枚の羽織を仕立てたため「マチ」が無く、お尻の途中位までの丈です。普段の日常着としての羽織。腰が隠れるだけの短い。塵除け的として活動的で日常的な生活着です。

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