この頃は季節の移り変わりが昔と変わり、二月にポカポカ陽気の後の気温の急降下とか、だらだらと残暑が続いたと思えば、いきなり肌寒いようになったり、四季のいずれでも、着るものに悩むことが多いですね。

とはいえ、気温はなんだか変でも季節はちゃんと動いていて、植物はちゃんと反応しています。気温は高くても、日照時間は昔と変わらないですしね。

着物の楽しみはいろいろありますが、「季節を着る楽しみ」はそのなかの大きな一つだと思います。 

自然の中で暮らしていれば身の回りに季節の移り変わりがあり、その季節にふさわしい色調や文様などで表現する季節感も、自然に身に付いたものです。 

しかしながら、最近のように真冬でも袖なしで通用する都会にあっては、季節感は身に付きにくいのかもしれません。

季節の草花だけでなく、色や素材感でも季節を表すことができることも、今の時代に知っておいてほしい着物の楽しみ方ではす。

よく言われるのが、春大島に秋結城

大島紬の生糸を使った少し冷たい光沢が涼感を呼ぶため、暖かくなる春に、

結城紬に代表される真綿のほっこりとした質感は、温かみを覚えさせるので秋からの季節に相応しい、というものです。

もちろん秋草模様の大島紬だって、桜の絣の結城紬だってありますから、その季節しか着てはいけない、というものではなくあくまでも質感によるイメージです。

紬に限らず柔らか物でも春は綸子、秋には縮緬がふさわしく感じられます。

帯揚げの生地もそうですね。

季節に合わせて着る草花の柄なら、その花が咲く季節が判っていれば問題ありません。

薔薇などは春秋2回咲くのでお得?です。一方、紫陽花や菖蒲、百合などは咲く時期の短いものです。

概ね冬の花(椿や梅)は開花時期も長く、長く着られるものが多いです。2月にも咲いているポインセチアは、やっぱりクリスマスイメージですけど。

何の花か分からないものもあります。その場合は、「草花紋」として通年着用できます。

花の名称が判れば、季節以外での使い方として、例えば吉祥柄として百花の王の牡丹、長寿を願う菊、ご自分の名前に入ってるからとか、誕生花だとか、地元では散ったけど実家地方は今が盛りなので、とか?

回りにとやかく言われた時に 確信犯?として反論できると楽しみも広がるのではないでしょうか。

抽象柄では、鋭角や直線的なものは夏が、曲線は冬が、なんとなく心に沿うような気がします。

普段から自然に接して季節に対する感覚を養っておくことは、着物のコーディネイトを楽しむことに繋がります。

よく見れば 通勤の道端にも季節は溢れています。その季節にあったものでなくてはダメ、というのではなく 季節を知った上で自分流に楽しみたいですね。

ぽってり可愛い紅梅帯です。地色はチャコールグレー。黄八丈とかにも合わせたいなぁ。
今日は山崎世紀さんの茜のほたる絞りに合わせました。

桜は具象的に枝や葉が描かれれなければ桜の季節以外もOK、と言われることが多いですが、梅も枝がないとデザイン性が高くちょっとは長く着られる気がします。

お正月から2月いっぱいが一番似合いますが、の可愛さは見せびらかしたいので桜が咲き始めるまで「名残の」と言いながら締めてしまいたいです。

咲く前の「走り」、満開の「旬」、散り始めた「名残」、言い訳っぽいですが 長く楽しむコツの1つとして覚えておいてもいいかもしれません。