遠くへお出かけはできませんけど 花々が一番咲く季節。
ご近所散歩でも沢山の花を見つけることが出来ると思います。
おうち仕事もこういう時にじっくり取り組めますね。
昔だったら 時間がある時には糸を作るのが女性の仕事の1つでした。
糸の産地でそれぞれ、糸の作り方には違いがあります。

糸をつくる工程は、材料により3種類があります。

績む(うむ)

紡ぐ(つむぐ)

座繰る(ざぐる)

績む、とは 麻や芭蕉布などの植物繊維から糸を取ることで、繊維を細かく、細く、均一に裂いて繋いでいきます。

50cm~1メートルの麻から一反分の糸を績むというのは、同じ細さの糸を継目が判らないように繋ぐために
経験と根気の必要な上、3ヶ月ほども掛かるものです。

麻や芭蕉布の繊維は乾燥に弱く、湿度が必要なため それぞれの気候にあった土地でのみ績む、という作業が行なわれています。

冬の湿った雪の中で苧麻が績まれて上布になり、沖縄の海のそばでは八重山上布や芭蕉布のための糸が績まれます。
苧麻の繊維を取り出しているところ。績引き、と言います。

紡ぐ、というのは、繊維を綿状にして そこから糸を引っ張り出すことです。

絹ならば 真綿にしてから引き出します。
真綿、というのは 繭をお湯につけて柔らかくして引き伸ばして平たく伸ばしたものです。
いくつかの繭を一緒にして重ねて綿状にします。
そこから引き出す作業を紡ぐ、と言います。

引き出された糸は太かったり細かったり、節があったりします。

本来は 次に説明する 座繰る、という作業に向かない
傷や汚れがあったり、繭から我が出てしまって穴のあいた繭から
糸を取るために行なわれたものです。
紡いだ糸で織られた着物を紬、と称します。
結城の糸を真綿から引き出しているところ。

繭から直接、糸を引きだすことを 座繰る、と言います。
繭は お蚕さんが自分の口から糸を吐いて作るわけですが
最初から終わりまで1本の糸で尽きられています。
普通の家蚕(養殖されている蚕)の繭1つは約1200メートルの糸から出来ています。
この糸は蚕の唾液の成分で絡んでいますので
お湯で煮て柔らかくして 1箇所から糸を引きだすと
ずっと繋がって繰り出されてくるのです。
こうして座繰って引き出された糸は平らでまっすぐです。この糸を何本か合わせたものが生糸(きいと)と呼ばれる糸です。

生糸は細く癖がなく艶やかなので白生地を織って 後染めの小紋などにされます。
繭を煮て解れた糸を引き出している座繰り。

紬の中には、経糸緯糸共に紡ぎ糸のものの他、
経糸は生糸で緯糸だけ紡ぎ糸だったり その逆のものもあります。
紡ぐにしろ、座繰るにしろ
機械で行なわれるものと人間の手で行なわれるものとがあり
かつては 屑繭の利用方法だった紡ぐ作業も今では 紡ぐことのできる人も減り
作家によっては この人の紡いだ糸でないと、などのこだわりも出てきています。

手触りの感触として おおまかに
生糸で織られたものは ひんやりとしていて
紬糸で織られたものは 空気を含んでほんわりしています。
それぞれの糸の持ち味でそれにあった着物が織られるわけです。

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