5月の単衣は当たり前で、4月の単衣もありだよね、という感じになってきました。

単衣は、袷から裏地を抜いた状態ですが、単衣にするには生地に向き・不向きがあります。

サラリとした裾裁きの良さが第一条件。そして肌触り。暑い時期には肌触りのサラサラが、心地よいものです。

サラサラした生地・・・

まず思い浮かべるのは、シボのある本塩沢や縮と呼ばれるものです。

それに、縮緬、お召し、縮みにしじら織・・・。

いろいろな種類のシボのある生地ですが、それぞれ違いがあります。

シボの正体ですが、縮緬も御召も縮みも「強撚糸」という強い撚りを掛けた糸を使って織られてます。

糸を強く撚るとどうしても糸全体が縮れてしまい、そのままでは織ることができません。それを濡らして引き伸ばし、糊で固めて緯糸として織ります。

織り上がった後で湯のしにより糊を落とすと、撚糸の性質である縮もうとする力が甦り、生地にシワをもたらします。

これがシボの正体です。

小千谷縮みには右撚りの糸が織り込まれているので、縦に大きなシワが寄った風合いになります。楊柳もそうですね。

右撚りと左撚りを交互に織り込むと、シワが小さく均一のお召や縮緬になります。

シボがあることで生地に凹凸ができ、肌に接する部分が減ることで涼しい感触になるのです。


パステルカラーの縞の本塩沢に根津美和子さんの絣と花織の名古屋帯。

本塩沢のシボはアップで見るとこんな感じです。

小千谷縮や綿麻はシボの出方が不均一です。
ビタミンカラーの綿麻にホースヘアの帯。

綿麻の表面はシボがランダムで大きいのでより涼しいです。

今年もそろそろ暑くなってきます。
シボのある着物で少しでも暑さを凌いで快適にお過ごしください。