山崎世紀さんは、誰かに師事したということもなく、お一人で独自の染織を作り上げました。

自分の作品に一番適した白生地を、自ら織ります。

座繰り糸のしなやかながらコシのある薄手の生地は、肌さわりが良く、しっとりと肌に沿い、美しいドレープ感で女性らしい柔らかなラインの着姿を現します。

自ら織った生地を絞り、草木で染め上げます。

飛鳥時代の手仕事に戻りたい、と「飛鳥絞り」と名付けました。

飛鳥絞りには様々な模様を染め出す技法がありますが、その中でも、山崎さんが「ほたる絞り」と名付けた絞りは、まさに蛍が淡く光るかのようです。

手前にある、蛇腹状のものが蛍絞り。

一反の布を蛇腹状に折り畳み、細かく縫いを入れます。これが大変な作業で、奥様と二人がかりでの手仕事です。

染めて、解けば、畳んだ外側は糸目がはっきりと、中心部はぼんやりと淡く光るような染になります。この染まり具合は、カンと経験に支えられています。

鹿の子のような凹凸を楽しむのではなく 防染としての絞りなので、解けば平らに伸ばしてしまいます。

同じように縫い、同じように染めても草木染は毎回違う色、違う柄に染まります。この時の柄、この時の色、なのです。


さり気ない中に、どこにもない存在感があります。

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