乎路・・・あまり聞きなれない言葉かもしれません。能登半島を指す古い言葉だそうです。 士乎路紬は 水島繁三郎の手によって生み出されました。大正2年に生まれ 東京工業大を卒業した水島氏は日本レーヨン(現ユニチカ)工場長、埼玉や山形の工業試験場長、東工大講師などを歴任して在職中より 各地の織物産地の視察を続けて、糸の製造法や染色、製織について研究を重ね、自らが 日本で一番美しく最も着やすい織物を織りたいと石川県の鹿島郡に工房を開きました。
四十年に渡る草木染め、紬織物の研究の末、糸は本場結城の手引きの真綿糸、染は大島の泥染の艶に惹かれて、この2つの美点を併せ持つ紬を目指したのが士乎路紬です。

伝統織物の良さに高分子工学の専門知識を生かして科学的分析を行った結果、仕立たその時から着こんで柔らかく馴染んだ結城の風合いを持ち、草木染めの色を落とすことなく艶を保ち、シワになり難く、しっとりと体に馴染む士乎路紬が生まれました。
また、単衣向きの士乎路縮を開発してサラリとしたシボのある優しい風合いで喜ばれています。

現在は 繁三郎氏亡き後、奥様とお嬢さん(と言っても60代ですが)がその意志を継ぎ、糸を作り、染め上げ、細々と織り続けられています。その風合いは軽く柔らかなしっとりとしていて、一度着て身体が覚えるともう一枚欲しくなる、そんな紬です。