2022年春 じざいやのお品の委託販売 始めました

単衣に向く生地、向かない生地 春単衣に秋単衣 

きもの暮らし

春分の日。本格的に春!の始まり、ですが、年によってはとっくに春、とことも多い季節です。

今日、単衣を着てしまいました。白大島です。去年も確か、単衣始めは3/20だったかと思います。

単衣と胴抜き・袷を行ったり来たりで、その日その日で気候や体感で決めていく季節ですね。

単衣に向く生地 向かない生地

単衣の着物とは、裏がついていない仕立ての着物。

確かにそうではあるのですが、だからといってなんでも単衣にできるわけではありません。単衣に適した生地、適さない生地というものはあります。

例えば、裏に糸が渡っている首里や読谷山の花織りは、単衣は無理です。同じ理由で、刺繍の施してある生地もダメです。

真綿の紬は「ほこほこ」が魅力ですが、裾さばきが悪いので単衣は難しく、第一、単衣の季節には暑過ぎます。

染物の場合は、裏が翻って見えたときに、いかにも裏、と見えないように裏も染めてあるものを選びたいです。

涼しそうだから、とペラペラした薄い生地よりも、実は重みのあるしっかりした生地が単衣には合います。

着心地がいい単衣、にするためには単衣向きの生地について基礎知識があったほうがいいです。

袷の隣の冬単衣

最近の気候では、もう4月からの単衣を奨励しちゃいます。

そうすると単衣の季節が長くなり、単衣の中でも袷に近いもの、薄物に近いもの、と分けられます。

3月終わりから4月の単衣、10月終わりから11月の単衣は、冬単衣と考えてもいいでしょう。

この時期には、目の詰まったもの、緯糸に真綿の入ったものなど、すこし温かみのある生地を単衣にしましょう。経緯真綿だと裾さばきが悪くて歩きづらいものです。

柔らか物ならお召など、紬ならツルリとした黄八丈や大島、牛首紬など、あまり色の濃くないものがきれいです。

早めの単衣の時には、単衣の羽織類かショールを合わせることをお勧めします。温度調整もできるし、帯を汚れから守ってくれてます。

暑いから、と袷を帯付きで出歩くよりも、単衣+薄い羽織モノのほうが理に適っていて快適です。

薄物の隣の春単衣、秋単衣

その次が、春単衣、秋単衣として5,9月にお召になるもの。

紬のお召である塩沢お召や白鷹お召は単衣として長く着られます。独特のシボがサラリとした肌触りでべたつかず、着心地が涼やかです。

麻素材も早めに用意しましょう

麻素材は、単衣仕立てとは言え薄物とされ、着物暦では7月からの素材とされています。

ただ、単衣が前倒しにされたのなら、麻も6月半ばには許されるように思います。だって暑いもの!

ただし、その場合の麻はあくまで透け感の少ない色の濃い目のものや 麻と綿、麻と紬など交織のものが基本です。

生紬もこの頃から着始めます。

着たいから着る着物の衣替えは、体感を重視でよいのでは

衣替えの日が決まったのはかつての宮中のことであり、武家の年中行事の決まり事として定められました。

武家社会はとにかく決まり事が多くて、何々を食べる日、とか 何々をする日、それに従うことが仕事のようなものです。

その頃に決められたことの1つが衣替えで、旧暦の5月5日から8月31日までが単衣、4月1日から5月4日、9月1日から9月8日が袷で、それ以外の9月9日から3月末までは綿入れになっています。

明治の時代に洋装が増え、公官庁の制服も洋装になったので、4/1と10/1に制服の衣替えが決められました。

衣替えは、庶民の暮らしとは関係なく、制服の都合上で決められたものなのです。

翻って現在の嗜好品としての着物を思えば、その楽しみ方は様々であって当然です。

自分が着たいから着る以上、暑いのを多少我慢して外見の季節感を楽しむのも良し、季節感より体感温度を重視して早々に単衣や夏ものを着るのも良し。

日によって場所によって楽しみ方が変わるのも当たり前だと思います。

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