暑くなるのが年々早いです。今年はいつから単衣かな。

単衣を着る時期が伸びたので、単衣の枚数が必要になりました。 

単衣には、どんな反物を選べば良いのでしょうか?

単衣に向く素材としては、

  • 裾捌きが良い
  • 皺になりにくい

というのが、大事な要素です。

裾捌きは、単衣には八掛がないので、滑りが悪い素材で裾捌きが悪いと歩きにくくなります。

皺については、皺の原因は折られて圧力がかかった状態ですが、単衣にはクッションになってくれる裏=八掛がないので、深いしわになりやすいのです。

シワになりやすい生地は、駒糸や平糸などで織り上げた光沢のあるものです。

麻や芭蕉布、生紬(なまつむぎ)など、天然素材で精練されていないものもシワになりやすい素材です。

反対に、縮緬やお召のような、シボが多くて伸縮性に富んだ生地は、シワが目立ちにくく、できても元に戻りやすい特徴があります。

ちりめんは、糸の撚り(ねじり)が大きく伸縮性に富んだ素材です。
撚りの強い糸で織られているので生地は表面に凹凸が多く、つるんとした生地に比べてシワが目立ちにくい特徴があります。

また、もしシワになっても、湿気や熱を与えると撚りの力で糸が回転するので、蒸気や熱処理を行うと生地の表に出る部分が微妙に変わり、シワだった部分が目立たなくなります。

ハッキリしたシワを作ってしまう要因は、湿気、熱、圧力です。

スチームアイロンやプレスと同じと考えれば、生地を一定の形に保って、蒸気を与え、熱を加え、圧力を掛ける状態、

椅子に座った時の膝の裏を想像してみてください。

折り目付けであれば、ピッチリしたキレイなラインが入りますが、同じ条件が逆に働くと取れにくい皺、ということになります。

裾捌きが良くて皺になりにくい、もしくは皺になっても取れやすい生地は、

本塩沢やお召、座繰り糸の紬などです。

裾捌きだけなら、大島や生糸の入った紬なら大丈夫です。

真綿のほこほこした本結城(縮は単衣オッケーです)、郡上、厚手の木綿は単衣にすると歩きにくいですし、なにより暑くて今のシーズンには着られませんね。

単衣に向かない士乎路紬。経緯真綿糸でほっこりしています。
士乎路の中でも強撚糸を使った士乎路縮は単衣向きになります。
帯は根津美和子さんの 藍絣花織入り名古屋帯。

節のあるふっくらした生地の士乎路紬は皺にはなりにくいのですが、裾さばきのが良くないので
衽だけに裏を付ける、などの仕立の工夫で単衣にすることも可能です。

涼しくないので、暑がりさんの冬の単衣に。