こんにちは、さくらこです。

ぐっと気温が下がりましたね。しばらくはお天気が続くようです。着物を着て、おでかけしましょう!

今日の沖縄染織は、久米島紬についてです。紅型や花織が南国の華やかな色彩を持つのに対し、久米島紬は一見地味な色目です。

しかし、土地の染料を使いこなした独自の美しさがあり、泥染の中の赤茶や金茶、辛子の絣が息づいていて、飽きがきません。

久米島紬の制作は農作業暦と深く連携しています。

4月から6月は農繁期の合間を利用して春蚕の養蚕と糸取り、6月から8月は図案作りと絣括り、9月から11月は染色、12月から3月の寒い農閑期は織り、という流れを繰り返します。

分業ではなく、一家でデザイン、絣作り、染、織が行われるのも特徴です。

久米島は、沖縄のなかで初めて養蚕をした島といわれ、中国から漂流してきた人からその技術を学んで14世紀末には養蚕が始まりました。

その後、越後や薩摩からの技術協力を得て生産量が増えました。しかし、薩摩からの租税として布を収めなくてはなりませんでした。

お米の代わりに15~45歳の女性全員に課税される、とても重い税だったのです。

ですから久米島紬は、「紬」といっても自分で着るための野良着ではなく、王朝や幕府に収めるお金の代わりになるものでしたから、丁寧で大切に織られています。

戦争で一度は途絶えてしまいましたが、1977年に県の重要無形文化財に指定され、伝承者養成事業も起こされています。

奄美の大島紬の養成学校は閉校してしまったので、久米島のように養成事業がある産地は、貴重です。頑張っていただければ、と応援していきたいです。

土地の染料について、すこしおさらいを。

久米島紬といえば、泥染で赤みのある黒。ティチカと泥で染めます

久米島紬の中で一番有名で多いのが、泥染で赤みのある黒。ティチカと泥で、染めます。

大島紬の泥染もそうですが、ただ糸を泥に浸しても染まりません。もちろん1日では染まりません。

ティチカ(シャリンバイ)と泥を、交互に100回以上も繰り返し染めることで、あの艶のある美しい黒に染め上げるのです。

ティチカを煮出した液を煮詰めて各々が自宅で染め、それを共同の泥染場に持ち込んでは染めます。繰り返し繰り返し・・・朝日の昇る早朝から日の沈むまで重労働が続くのです。

1日の中で、染めては干し、染めては干し、を繰り替えすことができるのは日差しの強い沖縄ならでは。でも雨が降ったら染められません。

泥に漬けず、ティチカだけで染めたものは赤みの強い深い茶色になります。

グール(サルトリイバラ)は、赤茶色に染まります

ティチカだけで染めた色に似ているのが、グール(サルトリイバラ)で、赤茶色に染まります。

グールの地下茎を細かく切ったチップにして煮出し、煮詰め、この液を別の溶器に移して浸しては干す、を繰り返します。

これも朝から晩まで、天気が良ければ十数回も漬けては干し、夜になったら蒸し上げます。翌日になればまた漬けては干し、漬けては干し。

数日~1週間ほどで好みの濃さまで染め上げます。

沖縄にはなくてはならない太陽の色、フクギ。鮮やかな黄色に染まります

フクギの根元の樹皮を煎じて、沸騰しない程度の温度で煮染にします。

フクギは染まりやすいので10~20回の染めては干し、で大丈夫です。

近頃人気なのは、グレーのゆうな染です

「ゆうな」という木で染めていると思われがちです。

実は、ゆうなの木を乾燥させてからカマドで炭になるまで焼き、この灰を粉にしたものを使って染めるのです。

大豆を臼で挽いて「ご汁」をつくり、これとゆうなの灰、水を混ぜて甕で発酵させたもので染めます。

漬けては水洗い、漬けては水洗いを繰り返し1週間ほどかかります。

沖縄の藍は琉球藍。阿波の藍とは違う藍です。

藍については、琉球藍の記事もご覧ください。藍は空気媒染なので、漬けては干し、漬けては干し、欲しい色になるまで繰り返します。

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綾織の久米島紬をご紹介します。

久米島紬には「平織」という条件がないので、このような織りのものも、少しですがあります。珍しくはありますけど・・・

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