2022年春 じざいやのお品の委託販売 始めました

残るもの 残らないもの その差は何なのでしょう

さくらこ文庫

コロナの影響で中国その他の国からいろんな物資が届かなくなっています。呉服業界では、胴裏などの裏地も中国産が多いので、この先ちょっと不安です。

糸も輸入に頼っているので、糸が足りなくなるとモノづくりはお手上げです。

あちこち店も閉まっていて、仕立士さんが縫い糸が買えない~~と嘆いてました。

ところで、中国もののきもの、と聞いてどんなイメージを持たれるでしょうか。粗悪品、安物、大量生産・・・あまり良いイメージではないのではないでしょうか。

だけれども、綴れや刺繍の技術は元々中国にあったものだし、手先の器用さから精緻な技術力は目を見張るものがあるのは事実です。

近頃は見かけなくなりましたが、明綴れの袋帯など、帯全体に施された細かな綴れの模様は感嘆せざるを得ないものでした。好き嫌いは別にして、ですがね。

だけど その技術を きもの、という日本人の心の中にある「何か」に生かしきれていないように感じます。

呉服業界では、反物の生地から帯はもちろん、帯〆、草履、下駄などの小物まで中国、台湾、ベトナムなどから大量に入ってきています。

製品の輸入だけではなく、仕立の海外発注も増えています。海外物が悪い、と頭ごなしに言うつもりはありません。

ただ、今の状況では きちんと創られたものも、心の入らない粗悪品も 一緒くたにされています。

日本の商社や大手のメーカーや織り元が現地に赴いて、直接指導して、色柄をとことん指定して 商品管理を行なったものは国産品と見劣りがしません。

しかし、中国では元々技術はあるので、「似たようなものを作れば日本人が買ってくれる」と、さらに工賃の安い山間部などで、日本人の指導もなしで勝手に作られたものが驚くような安値で持ち込まれていました。

日本でオリジナルで作ってもらうと1柄12反ロット、とかですが、中国では 1ロットが数百反~数千反だったそうです。

一声かければ 恐ろしい数が どっと入って来て国内の反物を押しやってしまう量です。

日本側から頼んだ以上の量を 勝手に作ってしまうので 裏ルートで入ってくるものは把握しきれないありさまです。

柄などいくらでもコピーできますから 似て非なるものが大量に流れ込んできていました。

「きものとは何か」という根本的な 心が入っていない商品は管理もずさんで 傷や汚れがあっても そのまま商品とされてしまいます。

今でこそ 中国の生産量は減っていますが モノ自体はまだまだ残っています。

そういったものがネット上で どんどん売られているのです。

なので 一見着物って沢山あるように感じますが、実は ちゃんと作られたものの数は激減していて入手困難になっています。

もちろん 心あるメーカーさんの きちんとした指導と管理の元、日本のものに負けない帯などを織っている工場もあります。

仕立にしても 一部にいる、片手間仕事で仕立てもやってる人や和裁教室の一年生がやってるというような 日本の仕立よりまじめにきっちり仕立てるベトナムの仕立屋さんもいます。

見極めは 見る目と信用しかないですが、伝統工芸マークのついたものすら中国産がある、と言われる昨今、何を信用していいものか。。。

問屋さんに並んでいるものの中に外国産があっても、問屋さん自体が見抜いていない事実。

どうやって作られたものなのか、ではなくどうやって売るのか、しか 教育されていない小売店の販売員の現状。

そういう環境が  本当にいいものを作る人たちの意欲を削いでいるのです。

コロナを境に世界は変わるでしょう。

着物もしかり。既に倒産した店や会社もあり、ふるい分けがされつつあります。

日本人の中のきものへの想い、少しの残布でも粗末にできないきものへの愛おしさ 

そんなものを 織り込まれたきものこそが 長い年月を受け継がれて残されていく きもの なのだと思います。

着物、着物が好きな人への愛と共感が試されているのかと思います。

じざいやは 生き残れるのでしょうか。。。