秋のご褒美、信州飯田の廣瀬さんの真綿紬

秋風がさわやかになってくると、信州飯田の広瀬さんのほあほあマシュマロ真綿紬の風合いに本当に癒される季節がやってきます。

私も、全国を歩いて各地の紬を触ってきていますが、この広瀬さんの真綿紬は 触った瞬間心がとろけます。触っていると、そのままヘロヘロになってしまいます。本当に優しい、淡々と、とろけるような、幸せの塊みたいです。ふあっふあで、やわやわで、糸をいじめてないので糸の艶がにじみ出てきます。説明はいらない、ただ触ってもらえれば良いのですが。画像では伝えきれません。

広瀬さんの紬は、触ると誰もが驚きます。ふっくらとした空気をいっぱい含んだ、軽やかで優しい紬です。草木染めの色も柔らかで、絹の艶がそのまま生きています。優しい色のグラデーションや格子。

ゆっくり織り進めなくてはいけない紬なので、ひと月に1反も織ることが出来ない状況です。また、広瀬さんが草木染の原料を調達中に樹から落ちて腰を痛めてしまい、織ることが難しくなってしまいました。今は奥様が主に織られています。いつもあるとは限りませんがある時に出会えたら幸せです。

今年もなんとか10反ほど(「じょうずな手織り」や「真綿の草木染」、無地紬を含む)、じざいやで触っていただけることになりました。この時期のご褒美みたいな紬です。

廣瀬草木染織工芸の真綿紬 4つの種類

広瀬さんの紬は4つの種類に分けられています。

1番上のランクが「手おりの中の手織」。ひと月に1反織ることも出来ない、最高峰です。「手おりの中の手織」の反端。空気をたっぷり含んで ふわっふわです。凄いネーミングですよね。かなり自信がないと言い切れるものじゃありません。その訳は 反物の中の説明書にもあります。

今シーズンの「手おりの中の手織」はこちら。

 

次に、同じ糸を使い、じっくり丁寧に織られたのが「上手な手織り」柔らかで軽い風合いです。

今シーズンの「じょうずな手織り」はこちら。

次に、経糸に生糸を使ったのが「草木染飯田紬 縞・格子柄」と「草木染無地紬」です。

生糸の入った「草木染飯田紬 縞・格子柄」。今シーズンのページはこちら。

最後に、草木染の優しい色を楽しめる「草木染無地紬」。

今シーズンの「草木染無地紬」はピンクのバリエーションがにんまりです。こちらからどうぞ。

写真では、草木染の色が、風合いと同じに淡く優しいので、ぼんやりしてしまいますが、本物は美しい色で染められています。

広瀬さんの紬のふわふわの秘密

「手おりの中の手織」は、広瀬さん自身が、「穏やかな織り」「やさしい手触り」「風を織り込む」ことを目指して織ったもので、経糸も緯糸も真綿を使い、地機の本場結城に劣らないふっくらとした風合いです。

ふっくら柔らかなく、いつまでも触っていたい感触の理由のひとつに、廣瀬草木染織工芸だけの織り方があります。

経糸のテンションを上げず、糸が張り詰めないよう緩めて、糸のストレスを最小にして大切に大切に織り上げます。高機で織られますが、とても織り難い作業です。もちろん、経糸がゆるんでいると織るのはとても大変です。ゆっくりゆっくり、緯糸を押し込むように織り上げます。

そして糸との付き合い方。蚕が吐く糸の美しい8の字カールと凹凸を活かすことにより、糸の強さと美しさと復元力をそのままに、織っていきます。なので、ほわほわでも、雨にも強く、シワになりにくいのです。

蚕の8の字カールとは、お蚕さんが繭を作る時に自分の周りに8の字を書くように首を振りながら糸を吐き出すことを言っています。お蚕さんが吐き出した糸は微妙な凹凸とカーヴを持っていて、それがバネのような役割をして布の復元力になります。その凹凸やカーヴを大切にしている、ということです。芝崎さんも座繰り糸で同じことを言っていました。糸の力を最大限に生かして布に伝えることが、生きた布を作るもとなのでしょう。

こうして、空気をたっぷり含んで柔らかでふっくらに織り上がります。

それをさらに、400回ほども砧打ちすることで、艶やかでしっとり、そしてしっかりした生地が生まれるのです。

「織りやすい布」ではなく「着易い布」を織る。広瀬さんの思い。

織手にとって織り難くても、布の風合い、軽さ、着易さを優先したい・・糸へ、布へ、着る人への愛情が込められた紬です。経糸のテンションを上げず、糸のストレスを最小にして、かつ、糸の美しい8の字カールと凹凸を生かして、というのはとても織り難い作業です。

それでも「織りやすい布」ではなく「着易い布」を織る。それが広瀬さんのこだわりです。養蚕から草木染、織り上げて砧打ちをする・・・その工程を一軒の家族で行っています。

信州の紬はいくつか工房がありますが、どちらも家族と近所のおばちゃんが手伝いに・・程度の規模ですし、 工房、と言っても 自宅の隣や二階だったりのごくごく小さな空間です。そんな場所から生まれる丁寧な丁寧な紬をぜひ触ってみてください。ふわっふわの子猫を抱いているような心地の紬。

広瀬さん(ご主人の方)が、草木染の材料を収集しているときに、木から落ちて腰を痛めて織りが出来なくなったので、どうしても数が出来なくなってしまいました。今回から工房の方も「手織りの中の手織り」を習得されました。経糸緯糸、共に真綿の草木染で特殊な機を使うので 熟練の技が必要なのです。それでも、織れる数はごくわずかです。

そんな廣瀬草木染織工芸の真綿紬、出来ることなら ぜひ触りにいらしてください。今シーズン、じざいやでご覧いただける信州飯田の廣瀬草木染織工芸のふあふわ真綿紬はこちらです。

下の写真は、これまでの作品のいくつかです。

今シーズン、じざいやでご覧いただける信州飯田の廣瀬草木染織工芸のふあふわ真綿紬はこちらです。